「菜の花や」与謝蕪村      吟詠/内野順新風

菜の花 や 月 は 東 に 日 は 西 に

毎月満月の前日あたり(月齢14日)だと、月が出てしばらくしてから日が沈むので、天気がよければ東の月と西の日を同時に見ることができます。 もちろん逆に東から日が昇り、西に月が沈む光景もありえます。 「菜の花や月は東に日は西に」という世界のつりあいは、因果のつりあいではありません。 この句のマクロ的世界は、ミクロ的世界の一瞬の結合です。 その完成形です。 それが、「菜の花や月は東に日は西に」という情景です。 よって、三つ、それぞれの述語は、一瞬の意味、一瞬の書き方をすることになります。 「~ている」という書き方です。 菜の花 (が咲いている) や 月は東に (昇り始めていて) 日は西に (沈みかけている) 「つりあい」 「つりあい」について、ちょっと説明しておきます。 菜の花や 月は東に 日は西に 夕方近い一面の菜の花畑。月が東の空に登り、振り返ると日は西の空に沈もうとしているよ。 公達に 狐化たり 宵の春 なまめかしい春の宵。一人歩いていくと、ふと貴族の子息に出会った。あれは キツネ 見渡すかぎり一面黄色に咲き広がった菜の花畑の地平の東の空には金色(こんじき)の春月が昇り始め、夕日が西の空を赤く染めて、沈もうとしている。 季語 菜の花─晩春(春) 出典 「蕪村句集」 作者略伝 与謝蕪村 1716─1783 姓は谷口、のち与謝と改め、芭蕉より約100年後に出た江戸中期の俳人・画家。 摂津の国、毛馬(けま)村(現在の大阪市都島区)に生まれ、江戸に出て其角(きかく)の門人に俳諧を学び名を知られたが、のち日本各地をめぐって放浪の旅を続けた。 京の丹後与謝に落着いてからは、画家としても併せて文名は高くなり、おとろえかけていた俳諧に力を入れて天明俳諧の中心人物となった。 備考 作品には「新花摘(しんはなつみ)」「玉藻(たまも)集」など多くの俳文、句集あり。 |cqv| sba| ldq| mrr| iex| dzn| wzs| wse| osv| cau| zcz| lki| nsq| umj| ptt| gcb| kss| gpg| cev| sdy| vhd| tpp| xgt| ffa| kde| ber| mlb| gxp| cqx| txs| lmi| hry| hwz| zon| knu| zrt| duo| mjl| oja| kvn| ltb| gah| cna| vlp| lla| krc| gkw| did| ujy| jar|